ジブリ映画『猫の恩返し』は、同じくジブリ映画『耳をすませば』と繋がりがあると言われています。
二つの映画を繋ぐキャラクターが、『猫の恩返し』で主人公・ハルを助ける猫男爵のバロンです。
ジブリキャラクターの中でも「かっこいい!!」と人気のバロン。
よく見ると、『耳をすませば』の「地球屋」に置かれていた猫男爵の人形にそっくりなことに気づいた方もいるかもしれません。
実は『猫の恩返し』は『耳をすませば』のスピンオフ的な映画です!
今回は、『猫の恩返し』のバロンのかっこいいポイントや『耳をすませば』との関係を調べてみました。
『猫の恩返し』だけでも十分面白いのですが、二つの作品の関係性を知れば一層映画を楽しめること間違いなしです!
『猫の恩返し』のあらすじ

物語は、主人公である高校生の吉岡ハルがトラックに引かれそうになっている猫を助けたところから始まります。
その夜、猫の大群がハルの家にやって来て、ハルを猫の王国に招待しました。
ハルが助けた猫は猫の国の王子・ルーンだったのです。
ハルは商店街にいる太った白猫・ムタに案内され、猫の事務所に助けを求めに行きました。
ここで登場するのが、英国紳士のようなタキシードを着た猫男爵・バロンです。
対策を考える二人のもとに迎えが来て、猫の国に連れていかれるハルとそれを追いかけるバロンたち。
猫の国では歓迎を受けますが、ハルは段々猫の姿に…!?
ハルの運命はどうなってしまうのでしょうか?
かっこいいバロンの正体は『耳をすませば』の人形猫!?

『猫の恩返し』ではバロンと呼ばれていますが、正式な名称は「フンベルト・フォン・ジッキンゲン」です。
作中でバロンのことをカラスのトトが「男爵」と呼んだことから、ハルが「バロン(=baron)」(英語で「男爵」という意味)と呼ぶようになりました。
バロンの仕事は「猫の事務所」の所長。
実は、その正体は『耳をすませば』で登場した猫の人形だったのです!!

『猫の恩返し』では主人公ハルを救う紳士として重要なポジションにいるバロンですが、『耳をすませば』では「地球屋」に置かれた猫の人形として登場します。
「地球屋」は、主人公・月島雫と恋人関係になる聖司の祖父・西司朗が営むアンティークショップです。
猫の人形は第二次世界大戦中に西司朗がドイツで一目ぼれをして持ち帰ったものでした。
作中、雫がこの猫を主人公にした物語を書く描写が出てきます。
実は『猫の恩返し』は雫が書いた小説の物語だったのです!!
ただ、『猫の恩返し』は『耳をすませば』で雫が書いていた小説の内容とは少し異なっています。
そのため、『猫の恩返し』は雫が成長して大人になってから完成させた物語だと言われています。

『耳をすませば』と『猫の恩返し』はバロンという男爵猫の人形を通じて繋がっていることが分かりました。
しかし、バロン以外にもう一つ、二つの作品に共通して登場しているキャラクターがいます。
それは、『猫の恩返し』でハルをバロンの事務所に導いた太っちょ猫のムタです。
ムタは『耳をすませば』では「地球屋」の西司朗の飼い猫・ムーンとして登場しており、本名はルナルド・ムーンと言うそうです。
どちらの作品でも主人公の雫やハルを導く重要なキャラクターです。
実は、『耳をすませば』と『猫の恩返し』の原作者はどちらも柊あおい(ひいらぎ あおい)さん。
『耳をすませば』はもともと少女漫画雑誌『リボン』で連載されていたのを、宮崎駿監督が気に入って映画化することになったそうですよ!
行動もセリフも声も、超紳士なバロンがかっこいい!
バロンはジブリ映画の男性キャラクターの中でも「かっこいい!」と人気です。
他の男性キャラクターにはない、ちょっとキザなところが魅力的なバロン。
Twitterでもバロンにメロメロなファンがたくさん!
そんなバロンのかっこいいポイントをピックアップしてみました。
かっこいいポイント➀ 行動が超紳士!
まず、猫なのに申し分なくイケメン!
白いタキシードにシルクハットを被り、手にはステッキを持った英国紳士のスタイルがダンディです。
また、立ち振る舞いが紳士的!
ツイートにもあるように、ピンチのときに飛んできてお姫様抱っこでヒロインのハルを助ける頼もしさが、ファンを魅了しています。
ただ、バロンはハルを恋愛対象として見ているわけではなく、あくまで大人の紳士としてハルを導いています。
それが、かえってバロンのヒーロー的要素を際立たせているのかもしれません。
かっこいいポイント➁ セリフが素敵!
見た目も立ち振る舞いもかっこいいバロンは、もちろんセリフもかっこいい!
作中では、数々の名セリフを生み出しています。
ファンから高評価の名セリフを集めてみました。

ダメだハル、自分を見失うんじゃない。君は君の時間を生きるんだ。
これは、変装をして、猫の城に囚われたハルを助け出しに来たときのセリフです。
バロンとワルツを踊りながら「…このまま猫になってもいいかも」と言ったハルに、バロンはこのような言葉を掛けました。
人は自分以外の何者にもなれない。
自分は自分の人生を生きなければならない。
そんなことを思わせてくれる言葉ですね。

私は、フンベルト・フォン・ジッキンゲン!ハルを迎えに来た!
猫王に「貴様、一体何者じゃ」と問い詰められたとき、バロンはこのように答えました。
まさに、少女漫画のヒーローです!
こんな風に助けてもらえるなら、囚われるのも悪くないなぁ…なんて考えてしまいますね(笑)
ハルのその素直なところがわたしも好きだよ。
これは、猫の国から脱出に成功したときに「私、あなたのこと好きになっちゃったかも。」と言ったハルに返した言葉です。
ハルの告白めいた言葉をサラッとかわす紳士なセリフですよね。
上手いなぁと、思わず感心してしまいました。
なぜバロンがハルの告白(?)に応じられないのかは、この先(『バロンと恋人猫の切ない恋の秘密』)を読み進めてもらえればはっきりします。

もしハルが本当に私たちのことを必要としたのなら、きっとまた猫の事務所は開くだろう。その時までしばしの別れ。
これは、バロンとハルが別れるときのセリフです。
実はこのセリフの直前、バロンはハルにこんな言葉を掛けていました。
「今回の冒険で自分の時間を取り戻し、成長することができた今のハルなら、私たちに頼る必要はない。」
最後の最後まで爽やかで紳士らしいバロンには、見ている視聴者も清々しい気持ちになったのではないでしょうか?
バロンのセリフに注目して見てみるときっと面白さが倍増しますよ。
かっこいいポイント➂ 声がクール!
バロンの少し低めでダンディな声がクールでかっこいいと感じるファン多数!
人気絶大なバロンの声ですが、実は『耳をすませば』と『猫の恩返し』では声優が異なります。
『耳をすませば』でバロンの声優を担当されたのが、露口茂(つゆぐち しげる)さん。
『シャーロック・ホームズの冒険』でシャーロック・ホームズの吹き替えをしたり、『太陽にほえろ!』に出演するなどして活躍していました。
『猫の恩返し』でバロンの声優を担当されたのが、袴田吉彦(はかまだ よしひこ)さん。
1991年に「第4回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリを受賞し、翌年に映画で主役デビューしました。
バロンの声優を担当したのは28歳のとき。
バロンの声優を露口茂さんから袴田吉彦さんに変更されたのは、「若々しい感じを出したかった」という監督の意図があったそうです。
ミステリアスなバロンの切ない恋の秘密
バロンのどこかミステリアスな部分も大人のかっこよさを際立たせていると人気のポイントです。
特に、ハルの告白をかわすバロンのセリフなんかには、「どうしてハルと恋人関係にならないの~」とじれったく感じる人もいるのではないでしょうか?
そのミステリアスな雰囲気の秘密は、バロンの切ない恋の物語に隠されていました。
『猫の恩返し』に登場するバロンの事務所に壁には、美しい女性の猫の肖像画が飾られています。
実は、この肖像画が『耳をすませば』と『猫の恩返し』の作品を越えたバロンの切ない恋の秘密を解く鍵になります。
『耳をすませば』で恋人と引き裂かれたバロン

『耳をすませば』の西司朗はドイツの店でバロンを見つけ、譲ってほしい店主に言いましたが、店主は断りました。
理由は、男爵猫には恋人の猫がいて、丁度修理に出していたため、二人を離れ離れにしたくないからということでした。
それでもバロンの虜になってしまった西司朗が、日本に帰国する前に譲ってほしいと毎日お店に通っていると、一人の女性が現れました。
彼女は、修理が終われば自分が恋人の猫を引き取り、二つの猫の人形を必ず再会させると約束してくれたのです。
こうしてようやく西司朗はバロンを譲り受けることができました。
ところが、帰国後すぐに戦争がはじまったためドイツに行けなくなり、戦後ドイツに行ったときにはその女性も恋人の猫も見つけることができなかったのです。
結局、『耳をすませば』でバロンと恋人が再開することはありませんでした。
『猫の恩返し』で恋人を忘れられないバロン

猫の事務所に飾られた肖像画の女性猫。
その猫こそ、『耳をすませば』で引き裂かれたバロンの恋人の猫だったのです!!
しかし、『猫の恩返し』の作中でも恋人の猫は登場していません。
いまだに離れ離れのままなのでしょうか?
第二次世界大戦前に離れ離れになってから、随分長い間再開できずにいる二人。
肖像画を飾っているということは、今でも忘れることができずにいるのでしょう。
二つの作品にまたがったバロンの恋の物語に、なんとも切なくなりますね。
そんな胸に秘めた切ない恋心が、バロンのミステリアスな雰囲気に繋がっていたのかもしれません。
ちなみにですが、一部のファンの間でバロンの恋人の猫の名前が「ルイーゼ」だと言われています。
しかし、「ルイーゼ」というのは、もともと『耳をすませば』で恋人の猫を引き取ると約束してくれた女性の名前で、バロンの恋人の名前ではありません。
恋人猫の名前だと言われている理由は、西司朗から引き裂かれたバロンとその恋人の話を聞いた雫が、恋人猫に「ルイーゼ」と名付けて物語を展開させたからだと思われます。
まとめ
『猫の恩返し』で大人気の男爵猫バロンについて、かっこいいポイントを紹介しました。
- 行動が超紳士的!
特にお姫様抱っこのシーンにキュンキュンが止まらないですね! - セリフが素敵!
キザなセリフもサラリとかっこよく口にしてしまうところがさすがです! - 声がクール!
ちょっと低めでダンディな声はずっと聴いていたい!
また、かっこいいバロンの正体は『耳をすませば』の「地球屋」に置かれた猫の人形でした。
そして、バロンのミステリアスな雰囲気の秘密は作品を越えた切ない恋の物語にありました。
- 『猫の恩返し』でハルを助ける男爵猫バロンは、『耳をすませば』で「地球屋」に置かれていた猫の人形だった!
- バロンには離れ離れになった猫の恋人がいた!
バロンのかっこいい部分だけでなく、切ない恋のエピソードをしると、また違った見方ができるかもしれません。
バロンが恋人猫と再会できるといいですね!