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【風立ちぬ】二郎の声優が棒読みでひどいのはわざとだった!庵野秀明を選んだ理由の真相

宮崎駿監督のジブリ映画『風立ちぬ』の主人公・堀越二郎の声優を担当するのは、『エヴァンゲリオン新劇場版』『新・ゴジラ』などで有名な庵野秀明監督です。

しかし、中には「堀越二郎の話し方が棒読みで下手」という感想を抱く人もいるようです。
それもそのはず、庵野監督はこれまで一度も演技をしたことがありませんでした

それなのに、なぜ主人公の声優に抜擢されたのでしょうか?

今回は、庵野監督が『風立ちぬ』の主人公・堀越二郎の話し方の評判と、声優に庵野監督が選ばれた理由について調べてみました。

主人公・堀越二郎の声優は棒読み?

『風立ちぬ』の映画で話題になるのが、主人公・堀越二郎の声。
アニメや映画によくある感情的な部分が少ない、 淡々とした話し方が特徴です。

実際に映画の声を聞いてみましょう。

確かに、あまり他のアニメや映画に類を見ない特徴的なキャラクターだと言えますね。
しかし、二郎の話し方には賛否両論あるようです。

二郎の声に対する否定的な意見

二郎の声に対する否定的な意見には、「棒読みで下手くそ」「感情がこもっていない?」といったものがありました。

https://twitter.com/green_izumi/status/367471828949680128

二郎の声に対する肯定的な意見

否定的な意見もありますが、その一方で「むしろ二郎の人柄にぴったり!」「二郎の声には庵野さんしかいない」と言った高評価の意見も実はたくさんあるのです。

二郎の話し方は確かに棒読みと感じられなくもないですが、生真面目で不器用な人柄をそのまま表現しているように思います。
この声と話し方だからこそ、二郎の性格が見ている人に率直に伝わるのではないでしょうか?

堀越二郎の声優・庵野秀明とはいったい何者?

庵野秀明監督の写真

堀越二郎の声優を担当したのは庵野秀明さん
庵野秀明さんは、2007年に始まった『エヴァンゲリオン新劇場版』シリーズや『シン・ゴジラ』などで有名な映画監督です。

2021年3月22日には、NHK総合でドキュメンタリー番組『プロフェッショナル 仕事の流儀~庵野秀明スペシャル~』が放送されました。
番組放送に当たって、『シン・エヴァンゲリオン劇場版』の舞台裏を4年間にわたって独占取材が行われました

幼少期から映画監督になるまで

幼少期からマンガ、アニメ、特撮、戦記物などの魅力に取りつかれ、中学では美術部でマンガと油絵を描いていました。
高校でも勉強をせずにひたすらマンガやアニメ、特撮などに没頭。

高2のときに8ミリフィルム機材を購入し、実写特撮やアニメを制作し、大学浪人中には友人と自主制作グループを結成してペーパーアニメにハマりました。

大学在籍中に学費を払わず、映画の制作などの活動を行っていたらいつの間にか退学処分になっていたのだとか。
それを機に東京へ就職し、映画やアニメの世界に入りました。

なぜ庵野監督が堀越二郎の声に選ばれたのか?

堀越二郎の声に庵野監督が選ばれた瞬間

棒読みだという意見も多い庵野監督がなぜ主役・堀越二郎の声に抜擢されたのでしょう。

結論から言うと、宮崎駿監督が「庵野監督が堀越二郎のような人物だ」と判断したからなんです。

堀越二郎はあまり感情を表に出さず、愚直で不器用で、日常会話でもぼそぼそしゃべる朴訥な人物なのだそう。

しかし、ラインアップされた声優たちの中に堀越二郎のような人物はおらず、会議で素人がやった方がいいのではないかという意見が出ました
そのとき出たのが庵野監督の名前でした。

庵野監督を「物凄く誠実な男。嘘つかない男です」と評価しています。
また、「声に何を考えているのか分からないところがあるのがいい」とも言っています。

こちらは宮崎監督が堀越二郎の声に庵野監督を選んだ瞬間をとらえた映像です。

庵野監督は宮崎監督の意図があって選ばれた人物だったのですね!

庵野監督と宮崎監督の出会いは?

そもそも庵野監督と宮崎監督はいつ、どのようにしてであったのでしょうか?

実は、二人の出会いはジブリ映画『風の谷のナウシカ』だったのです!
大学の学費を払わずに退学処分を受けた庵野監督が『風の谷のナウシカ』の作がスタッフ募集の広告を見て上京したのが始まりでした。

見事採用された庵野監督が担当したのが、『風の谷のナウシカ』の中の巨神兵の崩壊シーン
約90秒ほどの巨神兵が崩れ落ちていく場面に、庵野監督は3か月ほどの時間をかけていたのだとか。

ただ、採用された当初は「人間あまり得意じゃないね」「人間下手だね」とダメ出しを食らい続け、ついに「この未熟者め!」とまで言われたと、インタビューで語っていました。(『ダ・ヴィンチニュース』より)

その反面、スタジオに住み着いていたと言われるほど政策に没頭していた庵野監督を高く評価した宮崎監督
結局、その後は『天空の城ラピュタ』や『となりのトトロ』の制作時に誘うまでになったようですが、庵野監督は2回とも断りました

二人の出会いは庵野監督が映画に本格的に携わるようになったきっかけでもあるのですね!
このエピソードから、宮崎監督は庵野監督の人柄をよく知ったうえで、堀越二郎の声に抜擢していたことが分かりました。

まとめ

今回は、ジブリ映画『風立ちぬ』の主人公・堀越二郎の声優に、なぜ「棒読みだ」と評価される庵野監督が選ばれたのかを調べてみました
その結果、庵野監督が選ばれたのは必然だったということが分かりました。

庵野監督が選ばれた理由をまとめます。

  • 堀越二郎の生真面目な性格は庵野監督そのものだったから
  • 堀越二郎は普段からぼそぼそ話す人物なので、素人の方がよかったから
  • 以前、宮崎監督は庵野監督と『風の谷のナウシカ』を一緒に作った経験があり、庵野監督の人柄をよく知っていたから

棒読みのセリフも、堀越二郎の性格が表現されたのだと思ってもう一度映画を観てみると、また一段と作品に描かれた時代や登場人物の心情が深く味わえるかもしれませんね。

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